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芸術を復興する

私たちは時に、自分たちの「日常」を不意に揺さぶられ、何かを失ってしまうことがあります。

これまで当たり前だと思っていたものが一気に離れていってしまう。

 

離れていってしまった後の余韻は、

喪失感と同時に多くの「問い」をもたらします。

 

「日常」って何だったのだろう?ありふれた価値観がみるみる疑われていく、あの感覚です。

 

悲しみと「問い」の渦中に居ながらも、いや居るからこそ、

私たちはふっきれたように新しく変われることがある。

 

助け合ったり、共に何かをつくりはじめたり、

ピンチはチャンス。普段は出来ないようなことがこういう時だからこそ出来たりする。

 

それらは「問い」に対する応答であり、あなたがあなた自身を更新する素朴な創造行為です。

 

 

北澤潤八雲事務所は、「日常」をあえて揺さぶる「問い」を投げかける仕事をしています。

病院、港町、児童館、商店街、家庭、学校、仮設住宅、団地…

あらゆる地域や施設、制度に対してアートプロジェクトを提案し、

そこで過ごす人びとと一緒に実現し続けてきました。

 

悲しみは伴わない「安全なピンチ」ともいえるこちらのアクションに、

関わる人びとは素朴な創造行為をたくさん生み出し、リアクションしてくれています。

 

そんなリアクションが積み重なり、輪が広がっていくことで、

各地に「創造するコミュニティ」が生まれてきました。

創造することを共にする、日常の制約から解き放たれた人の集い。

 

そんな「創造するコミュニティ」を地域の中で育み、ずっと大切にしていくことで、

私たちは当たり前の様に自分たちを更新しながら生きていくことができるようになるはずです。

北澤潤八雲事務所はプロジェクトの現場に出向き寄り添いながら、

「創造するコミュニティ」を持続していくためのサポートにも挑戦しています。

 

実はお手本があります。

ここ日本に古くから存在していた小さなお祭りや年々歳々繰り返されてきた文化行事は、

地域に生きる人がつくり地域に生きる人が享受する「私たちの芸術」です。

日常生活に対する活力の源になっていたはずなのに、

今ではほとんどみることができなくなってしまいました。

 

アートプロジェクトをきっかけに現代における「私たちの芸術」をもう一度、興すことができます。

どこか遠くに行ってしまっていた芸術というものが、私たちの手にようやく帰って来つつあります。

 

 

 

2013年8月28日

北澤潤